ホテル・旅館・民泊・民宿・ホステル・ゲストハウスのデザイン・企画・プロデュース
【ホテル業界の現在】
東京のリフォーム、リノベーション、おしゃれリノベが得意な渋谷工務店では、ホテル・旅館・民宿・ホステル・ゲストハウスなどの企画・デザイン・設計・施工・プロデゥースを行なっております。
2019年までは、ホテル事業は不動産の活用、不動産購入によるホテル運営、既存ホテルの購入などさまざまな手法と投資がされていました。インバウンド需要の増加、長期的な収益性の確保が可能、節税効果も見込める優良な投資先の一つでした。
新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい始めた2020年では増収見通しが13%、2021年同時点では5%にとどまるなど、各企業で非常に厳しい見通しになりました。その後、2022年以降は県民割やブロック割、全国規模の旅行支援開始により徐々に業況が回復。2023年以降は水際対策の大幅緩和の他、感染症法上の5類へ移行し国内及び海外からの旅行客需要増加を追い風に、急回復の局面を迎えています。
帝国データバンク「旅館・ホテル業界」動向調査(2023年度見通し)では、ホテル・民宿・旅館・ホステル・ゲストハウス市場はコロナ禍で抑制された宿泊・訪日需要の反動が増加し、2023年10月時点までの各社業績推移を基にした2023年度通期の旅館・ホテル市場(事業者売上高ベース)は4.9兆円前後と予想されています。これは、訪日外国人による宿泊需要が旺盛だった2019年度並みの水準となり、今後の年末年始や卒業旅行シーズンを踏まえると過去最高を記録した2018年度の5.2兆円を超える予想です。
観光庁が行っている宿泊旅行統計調査では、2023年9月時点の数値において2019年同月の値を超える宿泊者数5,032万人泊を記録しており、特に外国人延べ宿泊者数の増加率が+18.9%と大きく跳ね上がっています。
日本政府観光局の統計によると、2023年10月の訪日外客数(推計値)は2,516,500人となり、新型コロナウイルス感染症拡大後初めて2019年同月を超える結果となりました。
客室稼働率は、2020年4月頃より急激に低下し、その後は新型コロナウイルスの感染拡大に左右されるかのように一進一退の状況が続いておりましたが、2022年3月頃より徐々に回復傾向が見られています。
ホテル(宿泊特化型)に対する投資家の期待利回りは、一般社団法人日本不動産研究所の調査によると2023年10月時点で全ての調査地区で低下し、京都・那覇で前回比0.2ポイント低下しました。2020年4月以降は上昇傾向にあったものの、業況回復への期待感からか2022年4月以降は緩やかな低下の動きが全エリアで見られており、ホテル投資への注目が改めて高まっていると思われます。
【ホテル事業のさまざまなスタイル】
ホテルに投資する場合、投資形態や物件の取得方法により種類が異なります。
1. ホテルのリート
REIT(リート)とは、「Real Estate Investment Trust」の頭文字をとった略称で、日本語では「不動産投資信託」のこと。これのホテル版が「ホテルリート」。複数の投資家から集めたお金でホテルを運用する。少額で始められるが、その分、リターンも小さいというデメリットもある。
2. ホテルのコンドミニアム・ゲストハウス・旅館・ホステル・ゲストハウス
主にリゾート地のホテルを一室単位で所有し、所有者が使用していないときに宿泊施設として貸し出すスタイル。個人投資家が自身の別荘として使用しながら、賃料として収入を得ることができる。
3. 収益物件としてのホテルにコンバージョン
すでに営業しているホテルを購入するスタイル。すぐにオーナーとして運用、収益を得ることができる。ホテルとしての設備がそろっているため大きく老朽化しているなど大規模なリニューアルが必要なければ、早期に収益化が可能だと言える。ホテルではなく他の物件などを買い取ってホテルにリニューアルする方法もあるが、多くの場合リニューアルに大きな投資が必要となる。
4. 土地活用によるホテル事業
自社所有の不採算不動産、遊休地などを活用して、ホテルを運営するスタイル。また、新たに土地を購入してホテルを建設するスタイルもこれに含まれる。
企業が取り組むには3のホテル購入、4の土地活用によるホテル投資が現実的といえますが、近年は建築費の高騰が続いており、国内外の建築需要増加や資材・輸送費・人件費などの原価高騰が要因と考えられています。しばらくは高止まりが続くと見られており、建築費を考慮すると現段階は4の土地活用に適したタイミングではないかもしれません。ホテルを運営するにはノウハウが必要となりますが、既存のホテルを買い取る場合はもとの運営会社に貸して賃料を得る手法により、運営を他社へ任せつつ不動産投資を行うことが可能です。
また、コロナ禍でテレワークが普及し、これまでのように大規模なオフィスで多くの社員が働くという以外にもさまざまな働き方へ変化しています。その変化を利用し景気の影響で業績が悪化したホテルでも、オフィスへの転用、あるいはテレワークに対応したサテライトオフィスへ転用するなど、活用の手段は多様であり、実際に、コロナ禍で経営不振に陥ったホテルが閉館後に別業態や宅地開発を行うといった事例も見られ、立地条件などに応じた活路はまだまだあるといえるでしょう。
【ホテル経営の業態】
ホテル事業には「所有」「経営」「運営」という3つの役割が存在し、事業主がどの役割を担うかにより事業形態が分かれます。代表的なものとして以下の4つが挙げられます。
1. 直営方式
ホテルの所有者自身がホテルの運営と経営の両方を行う方式。単独経営であるため経営に関する意思決定の速さや金融機関からの信用度の高さが特徴的だが、資金力に加え一定のホテル経営に関するノウハウが求められ、ホテル事業におけるリスクとリターンが全て自社に帰属する形態。日本の老舗ホテルや旅館に多く見られる。
2. リース方式
ホテル所有者が土地建物を賃貸し、ホテルを経営・運営する会社がこれを借り上げる方式。所有者側はホテル経営に関わらずにリース料(賃料)を得ることができる一方ホテル会社の退去リスクがあり、運営側は大きな初期投資をせずにホテル事業に参画できる一方収益が低迷した際にも賃料を払い続ける必要がある。尚、住宅や事務所と同様に固定賃料型と変動賃料型がある。
3. MC(マネジメント・コンストラクション)方式
ホテルの所有・経営を行う会社が、ホテルの運営に関し別会社に委託する方式。所有者側は運営を担うオペレーターへ運営委託料を支払い、オペレーター側は所有者側へ人材の派遣や運営ノウハウを提供する形態。所有者側の運営ノウハウがない場合でもホテル事業への参画が可能であるものの、経営責任は自社にて担うこととなる。
4. FC(フランチャイズ)方式
ホテルの所有者がフランチャイジーとなり、別のホテルチェーン会社とフランチャイズ契約を締結しブランド使用権やホテル運営のノウハウを受ける代わりに、ロイヤリティを支払う形態。所有者側はリスクを押さえつつチェーンを増やすことができる一方、人材の雇用やホテル運営は自社で行うため、所有直営方式同様に自社で全ての責任を負う必要がある。
【ホテル・旅館・民宿・ホステル・ゲストハウス事業のメリット・デメリットとは?】
ホテル事業をする大きなメリットは、オフィスビルや賃貸住宅に比べて収益性が高いという点です。
他のアセットと比較し、ホテルは1日ごとの短期利用のため単価が高く、客室稼働率が高くなるほど収益性が高くなります。また、同時にホテル事業で活用されるため、一室、一フロアごとの空室リスクは少なくなります。特に、事業形態の中で需要の高い「リース方式(固定賃料+変動賃料)」は、固定賃料で最低限の収益を確保しつつ売上が好調なタイミングでは変動賃料により収益向上が見込めるため、大きなアップサイドを狙える可能性があります。
一方、デメリットとしては初期投資額が高くなる傾向があることが挙げられ、ホテル買取の場合は一棟ごと買い取る必要があるため一定の資金が必要となります。既存物件のホテルへの改装や新たにホテルを建てる場合は、住宅物件やオフィス物件よりも設備費がかかるため、こちらでも費用負担が大きくなります。また、今回のコロナ禍で顕著になりましたが、世界情勢や景気に収益性が大きく左右される点はメリットと紙一重な部分があり、気を付けなければならない点といえます。
【ホテル事業の背景】
観光庁の統計(平成31年1月~令和元年12月分)によると、日本人の延べ宿泊数は4億4,180万人。外国人延べ宿泊者数は1億143万人。延べ宿泊者数(全体)は5億4,324万人となっています。実はインバウンド需要は全体の約18%とそんなに高くはないのです。一方、2019年の海外旅行者数は日本政府観光局によると2008万600人。
【サマリー】
現在のホテル市場は室料も大幅に改善し、円安やインバウント需要の後押しもありコロナ前の水準まで戻り業況が回復傾向にあるため、遊休不動産の活用や新たな収益源の確保のために有効な手段の一つと考えられます。しかし、需要が回復する一方で深刻な人手不足も顕在化し、帝国データバンクの調査では、旅館・ホテル業界における人手不足の割合は正規・非正規人材ともに7割を超えました。このように、インバウンドや行楽シーズンにより需要が回復基調にきている中での課題もあります。
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